コロンビア大学のミューラー教授たちは、
小学生を対象に「ほめ方」に関する実験を行いました。
2回目だけをかなり難しくしたIQテストを実施し、
1回目が終わったあとに「頭がいいね」と能力をほめるグループと、
「よく頑張ったね」と努力をほめるグループに分けました。
その結果、もともとの能力をほめられた子どもたちは
3回目のテストで成績を落としたのに対し、
努力をほめられた子どもたちは成績を伸ばしたのです。
これはどういうことでしょうか。
「頭がいいね」と、能力をほめられた子どもたちは、
2回目のテストで悪い成績を取ったことを「自分に能力がないせいだ」と考え、
やる気を失い、努力をしなくなりました。
一方、「よく頑張ったね」と努力をほめられた子どもたちは、
2回目で悪い成績を取ったことを「努力が足りなかったせいだ」と考え、
より一層努力をするようになり、
3回目のテストでは1回目より成績が上がったのです。
この実験結果を受けて、ミューラー教授は
「能力をほめることは、子どものやる気をむしばむ」と結論づけています。
子どもをほめるときは「頭がいいね」とほめるよりも、
「今日は1時間も勉強できたね」というように、
もともとの能力ではなく、やはり、
努力をほめることが重要であることがわかります。
また、ハーバード大学のフライヤー教授が、
小中学生約3万6000名を対象とした
「ほめ方」に関する大規模な実験を行ったところ、
結果をほめる「結果ぼめ」よりも、
やはり「努力ぼめ」の方が学力向上に効果的であることがわかりました。
「結果ぼめ」を続けていると、
結果が出ているうちはやる気が続きます。
しかし、内容が難しくなってきて、なかなか結果が出にくくなると、
ほめられたいがために簡単なことばかりするようになり、
難しいことにはチャレンジしなくなってしまいます。
子どもたちは新しいことや難しいことにチャレンジして、
失敗したときにそれを乗り越えることで成長するのに、
「結果ぼめ」はその成長のチャンスを奪ってしまうのです。
子どもに新しい習慣を身につけさせてあげたいときは、
まず初めに結果を気にせず一緒に遊び感覚で取り組み、
積極的に取り組めるようになったら「能力・結果ではなく努力をほめる」ことを心がけましょう。
そうすれば、新しい習慣が身につき、
どこまでも自分の力で伸びていく子どもになります。
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